東洋医学とは何か?資格取得を目指すなら知っておこう
鍼・灸・あん摩・マッサージ・指圧の施術において、学問の基礎となるのは西洋医学と東洋医学の両医学です。そのうちの東洋医学は、その土地の風土にあった伝統医学より生まれ、日本においても日本人に合った医学として発展しています。
前述のとおり、東洋医学は、鍼や灸、あん摩、マッサージ、指圧などの施術における基礎となる学問の一つです。そのため、医療の国家資格であるはり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師を志す上で、東洋医学の知識は欠かせないものだと言えるでしょう。
そこで本記事では、資格取得を目指している人に向けて、東洋医学の基礎や西洋医学との違いについて詳しく解説していきます。
東洋医学と西洋医学のもっとも違う点は治療へのアプローチ
東洋医学と西洋医学には、根本的なところで大きな違いがあります。そもそもの疾患へのアプローチの仕方が異なっているのです。西洋医学においてはまず血液検査や尿検査などを行い、細胞・遺伝子レベルから病気の原因分析がなされ、病気の原因を見つけ、原因を取り除くよう治療を行っていきます。そのため、病気の原因がはっきりしている感染症やガンなどの治療は得意ですが、一方で病名がそもそもつかないような、体の不調を治すのは比較的不得手であると言えます。
一方、東洋医学においては、患者の自覚症状や体に現れた病的な変化に着目することで治療に結びつけています。冷えや血の滞りといった点に目を向けることで、患者を悩ませる不快な症状の改善を目指します。そのため、自律神経や免疫、内分泌系などに関する機能異常を扱うのが得意であり、まだ病気になっていない段階でもアプローチが可能です。ただし、手術が必要なガンや、投薬治療が必要な肺炎などの治療といった西洋医学的なアプローチは苦手な領域であると言えます。
陰陽五行説と気・血・水の概念を理解することから始めよう
東洋医学で人体の協調関係や平衡関係を解説する際には、東洋伝統医学から生まれた陰陽五行説から引用されることが多くあります。森羅万象は陰と陽という、相対するものの組み合わせでできており、これを陰陽思想と言います。
五行説は名前が示すように5つの要素から成り立つ概念です。この5つの要素は、それぞれ木・火・土・金・水と呼ばれています。これを転じて、東洋医学においては体の部位も5つの要素に分けられると解説されるのです。木は胆のう・肝、火は小腸・心、土は胃・脾、金は大腸・肺、水は膀胱・腎と、それぞれが当てはめられます。これらは先に触れた、互いに強め合い、あるいは弱め合う相剋と相乗の関係となっており、切り離すことのできないものです。
また、生体を維持するための3つの要素として、気・血・水の概念が挙げられます。これは、人間の体を作り上げ動かしているのは、気・血・水という3要素だという考え方で、「気」は目に見えない生命エネルギーを、「血」は体を滋養する基、「水」は体を潤す体液を示した概念です。これら3要素のバランスが崩れることで体に不調があらわれるとされており、それぞれ気の異常には気虚、気滞、気逆、血の異常には血虚、お血、血熱、水の異常には津液の不足、水滞、水逆などがあります。
はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師は東洋医学の専門家
はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師としての活躍の場は、医療領域・スポーツ領域・美容領域・地域医療や予防医療領域など、現在では多岐にわたっています。その中でも、予防医療の観点では東洋医学が一つの貢献として期待されています。自身の描いた将来に向けて地域医療や予防医療領域での活躍を目指す方は、東洋医学の専門家としてその基礎となる東洋医学の確かな知識と技術を身に付けることが重要であると言えます。