そもそも漢方やツボ療法などの東洋医学に馴染みがない方や、東洋医学自体を知っていても、「根拠がないのでは?」「迷信では?」と懐疑的な考えをお持ちの方は一定数いらっしゃると考えられますが、東洋医学は長い歴史を持つ伝統医学です。

そこで本記事では、東洋医学の強みや歴史をご紹介します。

東洋医学に根拠はあるの?東洋医学の必要性と将来性とは

東洋医学は中国から伝わった「伝統医療」

日本での最古の医学書である『医心方』は984年に丹波康頼によって編纂されており、少なくともそれ以前には東洋医学が日本に伝来されています。その後も日本人の体質に合った日本独自の医学として臨床研鑽が続けられました。

一般的に東洋医学には漢方(湯液)医学と鍼灸医学が含まれ、臨床経験の集積を基礎として発展しました。具体的なケースを前提としてどのような治療措置をとればより効果的かを事象に応じて考える学問であるため、総合的・人間的な医療・学問であると言えます。

明治維新以降、日本の医療体制は西洋医学に統一されましたが、東洋医学は地域の伝統医学として今日まで日本人の体質に合った治療法が研究されています。

東洋医学による独自の診かた

東洋医学では、体力や体質を含め患者の状態を総合的に観察したうえで漢方薬や治療法を選択するので、いわゆる不定愁訴など原因のはっきりしない症状にも対応できます。東洋医学では細胞や臓器は全体としてつながっていると考えるので、特定の症状の緩和のみならず体の不調を根本的に改善することを目指すのです。場合によっては、患者の心の状態、生活環境、家族の価値観などを考慮することもあります。

東洋医学に「根拠」はある!

伝統医学や東洋医学に対し懐疑的なイメージをお持ちの方もいらっしゃることでしょう。たしかに、まだまだ解明されていない点も多くあります。

しかし東洋医学はしっかりとした臨床経験に基づいており、実際にWHOでは全身に361カ所のツボがあり、鍼灸による治療の有効性を認めています。また、近年では、鍼や灸の刺激のメカニズム、臨床研究における多くの疾患への有効性が少しずつ解明されてきています。

これからの「東洋医学」の在り方と将来性

西洋医学、東洋医学ともにそれぞれ長所と短所があるため、体調をより良くするためにはそれぞれの短所を補いあう必要があります。

生活習慣病のように特定の原因のない症状を抱える人たちが増える状況においては、東洋医学の重要性はますます高まってきています。そのため、先進国を中心とした世界の医療現場における東洋医学の存在感も増してきています。その注目度の高さを示す出来事として、2018年にWHOにおける国際疾病分類に「伝統医療」が加わりました。このことは、地域における伝統医学の重要性が見直されていることを表しています。

また近年、東洋医学を求める声は医学会だけでなく、美容やスポーツ、福祉の現場でも注目されています。特に美容の現場においては東洋医学による施術によって自然治癒力を高め、肌トラブルとなる血流の滞りなどを改善することで肌ツヤをよくしようとする美容鍼灸があり、女性を中心にニーズが一層高まっています。