鍼灸師になるには、必要な資格の取得およびその準備が求められます。事前にどのような資格が必要となり、どんな準備が必要なのかが分かっていれば、計画的に鍼灸師を目指すことができるでしょう。

本記事では、鍼灸師の資格の詳細について紹介します。これから鍼灸師を目指す方は、参考にしてみてください。

鍼灸師の資格について詳しくご紹介します!

鍼灸師になるには?

鍼灸師になるには、専門資格の取得が条件となっています。鍼灸師として働けるだけのスキルを持つことを資格で証明することが、就職や転職時には欠かせません。そのため鍼灸師を目指すのなら、まずは必要な資格の種類と、その取得条件を知ることがポイントです。以下からは、鍼灸師になるにはどのような資格が必要になるのかを紹介します。

鍼灸師になるには「はり師」と「きゅう師」の2つの国家資格が必要

鍼灸師になるには、「はり師」と「きゅう師」の2つの国家資格が必要です。鍼灸師の仕事内容には、鍼(はり)と灸(きゅう)の両方の技術が求められます。どちらか一方だけでは鍼灸師として仕事ができないため、必ずはり師ときゅう師の資格取得を目指しましょう。

はり師ときゅう師の国家試験では、以下のような内容が出題範囲となっています。

  • 医療概論(医学史は除きます)
  • 衛生学
  • 公衆衛生学
  • 関係法規
  • 解剖学
  • 生理学
  • 病理学概論
  • 臨床医学総論
  • 臨床医学各論
  • リハビリテーション医学
  • 東洋医学概論
  • 経絡経穴概論
  • はり、きゅう理論および東洋医学臨床論

試験は筆記で行われ、実技関係の試験はありません。上記のように多くの学習内容が試験の出題範囲となるため、幅広く知識を蓄えておく必要があります。

はり師ときゅう師の国家試験を同時に受験する場合は、共通科目の試験は免除されます。そのため鍼灸師になるには、はり師ときゅう師の試験を同時に受験するのがおすすめです。

参考:公益財団法人東洋療法研修試験財団 試験概要

鍼灸師の国家資格取得の条件について

鍼灸師になるために必須なはり師ときゅう師の国家資格を取得するには、まず国家試験の受験資格を取得しなければなりません。以下を参考に、はり師ときゅう師の受験資格を取得する流れをチェックしましょう。

①大学や専門学校で所定の授業課程を学ぶ

鍼灸師になるには、はり師ときゅう師の国家資格が欠かせませんが、そのためには厚生労働省に指定されている大学や専門学校で所定の授業課程を学ぶ必要があります。鍼灸師になるための技術・知識を専門的に学べるカリキュラムがそろっている学校で、プロとして働ける能力を育む必要があるのです。

鍼灸師の受験資格を取得できる大学や専門学校では、東洋医学概論や経路経穴概論などの座学に加えて、はりやきゅうを使った実技練習も行われています。実際に仕事で応用できる実践的なスキルを学べるので、学校の授業から鍼灸師の基礎を築きましょう。

大学でも専門学校でもはり師ときゅう師の資格取得に必要な条件は満たせますが、どちらの進路を選択するのかで就職までの時間や授業の必要単位数は変わります。鍼灸師の大学は基本的に4年間の修学が必要となり、教養科目が40単位、そのほか専門的な内容を124単位以上学びます。専門学校は3年間で鍼灸師になるために必要なスキルを学び、94単位以上取得して卒業を目指します。大学に比べて短い期間で鍼灸師の技術と知識を習得できるので、なるべく早く資格を取得したい場合や、学費を安く抑えたい場合などは、専門学校がおすすめです。

②卒業後、国家試験に合格する

鍼灸師の大学や専門学校で必要な授業を学んだあと、卒業してはり師ときゅう師の国家試験を受験して合格することで、鍼灸師として働くための国家資格が取得できます。合格するには170点満点中102点以上が必要となり、先に紹介した鍼灸師としての幅広い知識が求められます。はり師ときゅう師の試験の過去問題はこちらで確認できるので、事前にチェックしておくこともおすすめです。

参考:第29回あん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゅう師国家試験の合格発表について

参考:公益財団法人東洋療法研修試験財団 過去の国家試験問題等

鍼灸師の国家資格試験の合格率は?

鍼灸師になるための国家資格であるはり師ときゅう師の合格率は、比較的高い水準にあります。これまでの合格率を平均すると、はり師は77.2%、きゅう師は77.8%の合格率となっています。そのためしっかりと学校の授業を受け、試験対策を行えば、はり師ときゅう師の国家試験に合格することは難しくないでしょう。

参考:公益財団法人東洋療法研修試験財団 過去の受験者数

鍼灸師の国家資格試験対策について

鍼灸師の受験資格を取得できる大学や専門学校の多くは、卒業後の国家資格試験に向けての対策を行っています。国家資格試験に合格してはじめて鍼灸師になることができるため、学校側も全力で資格取得のサポートを行ってくれるでしょう。そのため学校の授業や試験対策に積極的に参加することが、効率的な試験対策につながります。

特に専門学校では、国家試験に精通したスタッフによるサポートが、生徒一人一人に対して行われるため、充実した環境で試験対策に打ち込めます。学校によっては、その学校内の毎年の国家試験の合格率を公表している学校もあります。国家試験の合格率が高い学校であれば、充実した試験対策が行われていると判断できるので、進学の際には国家試験の合格率も参考にしてみましょう。

参考:国家試験 合格実績

まとめ

鍼灸師になるには、「はり師」と「きゅう師」の国家資格を両方取得する必要があります。国家試験を受験するためには鍼灸師の受験資格を取得できる大学や専門学校に通って必要課程を学ぶことが必要なので、まずはどのような学校で鍼灸師を目指せるのかチェックすることからはじめてみましょう。

大学や専門学校を卒業しただけでは、鍼灸師に必要な資格を取得できるわけではない点がポイントです。卒業と国家試験の合格の両方を目指す必要がある点は、この機会にぜひ把握しておいてください。