特別講座女性領域の
ウェルビーイング
美容・産科・婦人科などの分野で患者貢献を
目指す方のための特別講座
特別講座
女性領域の
ウェルビーイング
とは?
鍼灸科、鍼灸マッサージ科 3 年生の希望者を対象とした特別講座「女性領域のウェルビーイング」では、専門医が講師を務める「医療基礎講座」(6 講座)、ベテラン臨床家の「鍼灸臨床基礎講座」(6
講座、実技あり)が行われます。
近年人気の「美容鍼灸」にとどまらず、女性領域の医療全般について幅広い基礎知識を身につけることができるアドバンスコースです。
東京呉竹医療専門学校が本講座を開講する理由
ウェルビーイング(well-being)は、「よりよい状態」「健やかで幸せな状態」のことです。
WHO(世界保健機関)では「健康」を「Health is a state of complete
physical, mental and social well-being( and not merely the absence of disease or
infirmity)」と定義しています。日本語に訳すと、従来は「健康とは、身体的、精神的かつ社会的に良好な状態」と表現されてきました。しかし近年では「健康とは、身体的、精神的かつ社会的に健やかで幸せな状態(well-being)」と訳されることが多くなっています。東洋医学の思想は変化とともに健やかに生きること、つまり「well-being」の考えに親和性があるといえます。
鍼灸が貢献する
女性領域の
ウェルビーイング
性差医療分野において、年齢ごとの変化や月の波がある女性は負担が大きく、その負担が理解されないという心理社会的な負担もさらに重なることが指摘されています。また、近年では女性の社会進出が進み、心身の不調による仕事への影響が、本人だけでなく社会的損失として示されるようになってきました。欠勤(アブセンティーズム)や、疾病就業(プレゼンティーズム)は社会的な問題として取りざたされています。鍼灸やマッサージは、古来より現象的な身体を観察し、その変化を捉えることで貢献してきました。女性領域の医療や鍼灸・マッサージにおけるエビデンス(科学的根拠)は少しずつ蓄積されつつあります。伝統医学はさまざまなアプローチが可能であり、本校では医療の現状に対応できる学びを提供します。
専門医から医学の基礎知見を学びます。
医学基礎講座
※2022年度実績
婦人科領域の基礎
木下紗林子先生(東京大学医学部付属病院産婦人科)
子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣がんなど婦人科疾患の解説。妊娠中の症状、産後の対応。
皮膚科学の基礎
阿部浩一先生(青山研美会クリニック理事長、日本形成外科学会指導医)
老化のメカニズムの解説、皮膚に関する医学知識、患者説明に活かせる情報も豊富。
女性のための漢方入門
伊藤隆先生(証クリニック総院長、日本東洋医学会指導医、日本東洋医学会会長)
木村容子先生(東京女子医科大学東洋医学研究所所長・教授、日本東洋医学会指導医)
女性に多い「証」として瘀血の所見、診断基準、鑑別のポイント、処方など。
臨床基礎講座の例(実技含む)
※2021年-2022年実績
はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師から技術とマインドを学びます。
不妊領域
徐大兼先生(アキュラ鍼灸院)
医療と連携し、不妊領域における多くの鍼灸貢献をするスペシャリストの講義と実技。
美容鍼灸
堀口三恵子先生(コウ鍼灸治療院)
美容鍼灸のパイオニアよる講義と実技。鍼灸における美容領域の貢献を間近で体感。
婦人科
藤本裕暁先生(ビファイングループ)
「多くの女性に貢献し後進育成も図る講師による女性の身体の診かたとそのアプローチ。
その他の講師(実績):
今村匡子先生(トータルケアまえいけ日本橋浜松町院)、岡本真理先生(麻布ハリーク)、梶原珠美先生・梅田明秀先生(ボディメンテナンスサロンエイチスリー・健康堂グループ)、川辺奈穂先生(銀座ハリッチ)、CHIHIRO先生(カリスタ株式会社)、光本朱美先生(株式会社ハリジェンヌ)、渡辺佳子先生(銀座ナチュラルタイム)
女性領域の医療知識を身につけると
進路の選択肢が広がります
卒業後の進路は人それぞれです。最初から「自分はこの方向へ進む」と決め、一つのことを奥深く学ぶ人もいます。
一方で、新しいことを学び、視野を広げることで自身の潜在的な興味に出会うこともあると思います。
美容鍼灸を目指していた学生が、女性領域全般を学んだ結果、「自分が思い描いていたのは必ずしも美容領域だけではない、女性の健康に貢献していくには生涯にわたる女性のライフステージも広く知る必要がある」と考えることもあるでしょう。
進路は思い込んで選ぶよりも、学生のうちに見聞を広げ、思い入れをもって選んでほしい。それまで気づかなかった自分の志向に出会い、チャンスを広げていきましょう。学びを深めたい受講生には本校の広いネットワークより就職サポートも行います。(担当教員・藤田洋輔先生より)
受講生
インタビュー
女性との知識の差を感じて受講
T・Yさん(鍼灸マッサージ科3年)
受講生はペアになって美容鍼の実技を行う。
写真は患者役がT・Yさん
― 受講のきっかけは。
女性と話しているとき、女性領域に関して持っている知識に差を感じたことがありました。とくに妻と一緒に暮らし始めたことが大きいですね。妻の機嫌が悪い日がときどきあり、「なぜだろう、僕が何か悪いことをしたかな」と考えましたけど、思い当たらない。月経前症候群(PMS)の症状や1カ月内での体調の変化が想像以上に激しいので、表面的に理解するだけじゃだめだな、と。女性領域の医療知識は、女性は身をもって体験していますが、男性は積極的に学ぼうとしなければなかなか身につきません。鍼灸マッサージの施術所は女性の患者さんのほうが多いですし、今後の臨床で必要になります。妻や周囲の女性のためにももう少し学ばなければ、と思いました。
― 実際に講座で女性領域を学んでみて、いかがでしたか。
事前に説明されていたとおり、座学でインプットし、実技で深めるプログラムでした。臨床的な知識を得られるので、3年生にはぴったりです。 2021 年度までは美容に特化したプログラムだったようですが、私自身は美容鍼にあまり興味はなかったんです。ただ、顔面部周辺への刺鍼は体調を整えるうえで大きな助けになると考えていて、講座では顔面部の構造機能とともに皮下出血を起こさないように刺鍼する方法などを詳しく学びたいと思っていました。ところが岡本真理先生の実技では、施術前と施術後の顔面部の変化が明らかに分かり、美容鍼のすごい技術を実際に見ることができました。そのほかの講座でも、臨床現場に裏付けされた確かなテクニックを間近で見て、講師から直接指導を受けられました。 最近、妊娠や出産を経験した友達から「むくみがつらい。つわりがひどい。どうしたらいい?」とよく聞かれます。鍼灸マッサージ師が産科領域にどこまでアプローチしてよいのか、ちょうどこの講座で専門医から聞くことができました。講座のあとは講師への質問がどんどん出てきて、時間が足りないくらいでした。
― 受講を検討している学生さんへ一言。
実技講師の先生がおっしゃっていましたが、知っているか知らないかで大きく違うと思います。女性領域の医療知識獲得のためにも、また男女の相互理解のためにも、特に男性は積極的に受講することをおすすめします。
2022年インタビュー
女性領域の総合的な医療知識が今後に活きる予感
N・Iさん(鍼灸科3年)
講師から理論に基づいた手技の解説と指導
触診でわかることを丁寧に伝授
― 受講のきっかけは。
アロマトリートメントの仕事を 10 年以上しています。東京医療専門学校へは鍼灸や東洋医学を施術に取り入れたいと思い、入学しました。40 代ごろから自分も含めて周りの友達や知り合いの女性が婦人科疾患にかかるようになったこともあり、婦人科疾患の知識を増やすためこの講座を受けました。
― 実際に講座で学んだ感想は。
資料もたくさん用意され、基礎から臨床までかなり詰め込んで教えてくださいました。自分の興味のあることだけでなく、女性領域を全般的に学ぶことができたのは非常によかったです。
最近、仕事で9カ月の妊婦さんのアロマトリートメントをしました。ちょうど講座で仰臥位低血圧症候群について西洋医学のドクターから具体的に教えていただくことができ、受講中は「あれもこれも重要!」とたくさんメモをとりました。講師であるドクターや鍼灸・マッサージの先生方は第一線で活躍している方々であり、それぞれ専門性のある分野をお持ちです。それを
90
分という限られた時間のなかで話し切ってくださいました。そのエネルギーがすごかった。極めるってこういうことなんだ、と感じました。講師の先生方から教えていただいたことを、今後は自分なりにつなげていきたいです。
― 印象的だった講座は。
アキュラ鍼灸院の徐大兼先生は、不妊治療の現状のお話と、施術を動画で見せてくださいました。講座では西洋医学的に、動画では印堂に刺鍼して腹部を触ったり井穴を使ったりと、東洋医学と西洋医学の両方を駆使していたのが印象的でした。
漢方については2人の専門医の先生から学びました。症状と処方、血の道症、母娘の似た体質など、臨床でしか知り得ない内容をうかがうことができました。漢方には非常に興味があって、講座が終わったあと、どんな場面で漢方を使っているのかを先生に質問をしました。
― 美容鍼以外も学びたい学生さんへ一言。
美容鍼については、講座のなかで筋層まで届きリフトアップができるという機序の説明と、実技を見せていただけました。女性は、口には出さなくても身体が元気になったら美容に力を入れたいものではないでしょうか。女性を対象とした施術を行う場合は、美容鍼に限らず女性領域の医療をひと通り知っていることは大事だと思います。例えば不妊領域の施術を行わなくても、患者さんとの会話で不妊治療について話題にのぼることもあります。そんなときこの講座で学んだことが必ず役に立つはず、と感じています。
2022年インタビュー